カウンセリングの効果
カウンセリングとは? 目的
カウンセリングというのは、一般的な悩みの相談話とは異なり、心について専門のトレーニングを受けた者によって行われます。家族や友人、職場の同僚等は悩んだり困ったりしたときに相談に乗ってくれる場合がありますが、話の内容を批判したり、時間が無くて最後まで話を聞いてくれなかったりします。一方でカウンセラーは、クライエントの話を非審判的に深く聴き入ります(傾聴)。
カウンセリングの目的は、困っている人の問題を直接的に解決するのではなく、その問題と向き合えるようにサポートすることです。つまり、カウンセラーがヒーローのごとく問題を解決するのではなく、クライエントさん自身で問題を解決できるように意識を変えていく(気づく)ための支援を行います。
問題解決に向け、変化するのはクライエントさん自身です。そのため、「誰かを何とかしたい」といった相談はカウンセリングにおいては扱えず、カウンセリングの過程は時間を要するものです。
パーソナリティ理論
心理学の歴史は100年ほどあり、アメリカの臨床心理学者ロジャーズ(1961)によれば、人には実現傾向という前に進んでいこうとする力が備わっています。この力が上手く働けるようにするのがカウンセラー(心理療法家)の仕事であり、治療するという視点は持ちません。すべての人が自分を変え、成長する力を持つという考え方で、現在まで広く支持されています。
人格モデルとしては①ありのままの自分②親や養育者などの期待に沿って成長してきた自己概念③経験の3つに分けることができます。何とか受け入れることができた経験は自己概念に加工されますが、そうでない場合は経験と自己概念との隔たりが大きくなってきます。例えばミスを認めなかったり・好きなものを嫌いと言うことがあるかもしれません。また、他者の価値観に沿って作られていく自己概念は、ありのままの自分との間でズレを生じることがあり、実現傾向の妨げになると考えられています。
日常生活への応用
心理学を学ぶと、まずは自身のカウンセリングが行えます(自己分析)。例えば認知行動療法の考え方では、ABCモデルを用いて分析することができます。
A 出来事(active event)
B 信念(belief)
C 結果(consequence)
ひとつ例を挙げてみます。
A 道端にゴミが捨ててあった
B 悪い奴がいる!
C 怒りの感情が沸き起こる
この場合、Bでの考え方が「~でなければならない」という形で固定化されているため、良くない結果が引き起こされています。この固定化された考えを自動思考と言います。自動思考に対して別の見方をしてみると(例の場合:ゴミを捨てに行く途中で落とした、あるいはとても嫌なことがあり、怒りをゴミにぶつけてしまう何らかの事情があったのではないか等)、結果としては怒りを感じずに済むことになります。
偶発的なカウンセリング
カイロプラクティックのように1対1で個室で施術や助言を行うような場面というのは、偶発的にカウンセリング様の会話が起こりやすいとされています。実際、施術中に「日常でストレスになること」を聞くことがよくあります。しかし専門家に相談するという決意のあるカウンセリングとは会話の内容や質が異なってきます。
心身相関という考え方
当院では、①身体の不調が心に影響する②心の不調が身体に影響する、という東洋医学における心身相関の考え方を支持しております。つまり、心身の不調は、身体の不調が心に影響したものであったり、心の不調が身体に影響したものであったりするという考え方です。
身体に影響を及ぼすような強い感情は「情動」と呼ばれ、大脳辺縁系という脳の深部で起こります。大脳辺縁系は全身の血管や臓器などに分布している自律神経をコントロールする中枢である視床下部と連絡しているため、情動の発生→自律神経(交感神経)の活動→身体への反応(心拍数の上昇、血管収縮、汗の分泌など)、という一連の反応が起こります。よって、交感神経の活動が高まると身体が緊張しやすくなり、首~肩こり・背中のこり・腰痛などを誘発すると考えられます。
また、身体の不調、例えば「首こり」による「痛み」は不快な情報であり、情動を発生させます。とくに激しい腰痛や首の痛みなどがあると、平穏な精神状態ではなくなってきます。